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企業法務

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法律は企業を守ってくれない

株式会社や個人事業者など、ビジネスをおこなう事業主体を、法律上、事業者と呼ぶことがあります。

これに対して、ビジネスをおこなっていない一般の人々のことを、法律上、消費者と呼びます。

起業してビジネスをおこなう以上、起業家は、ビジネス上の契約では、常に事業者としてみなされます。
(起業家であっても、ビジネス以外での契約は、消費者としてみなされます。)



事業者と消費者とでは、法律による対応が180度異なります。

事業者と消費者とでは、ビジネスの知識や経験の差が著しく大きく、両者を対等に扱うと、消費者が極めて不利な立場に立たされてしまう危険性があります。

そこで、一般的には、消費者は、各種法律によって、極めて強く保護されています。

逆に言うと、事業者は、各種法律によって、厳しく規制されているということです。

つまり、消費者を対象にしたビジネスモデルで起業する場合は、それほど厳しく保護されている消費者と取引をおこなわなければならない、ということです。

例えば、有名な制度に、クーリングオフという制度があります。

これは、消費者の側に、無条件の一方的な解約権を認めた制度ですから、事業者にとっては、極めて不利な規制です。

このような規制は、各種法律によって細かく規定されていますので、ほとんどの業種で、そうした法律について検討しておかなければなりません。

そうしないと、最悪の場合、刑事罰を課せられたり、許認可の取り消しなどの行政処分を受けてしまう可能性もあります。



一方、企業間取引の場合は、対消費者との取引と比べて規制が緩やかですから、一部の例外を除いて、ほとんど対等の立場で契約条件を決めることができます。

ただし、対等というのは、あくまで法律的な制限が課されていないという意味です。

最終的な契約条件の決定は、当事者間の自由に委ねられます。
(これを契約自由の原則といいます、詳しくは、姉妹サイト契約書の達人契約自由の原則をご覧ください。)

当事者間の自由というのは、どういうことかわかりますか?

それはつまり、当事者間の契約上の立場が、ダイレクトに反映された契約となる、ということです。

起業間もない起業家が率いる事業者が、もうすでに先行している事業者と契約を結ぶような状況で、果たして、有利な契約条件を勝ち取れるでしょうか?

おそらく、対等な契約条件さえ、満足に勝ち取れないのではないでしょうか。

しかも、まだその契約条件が対等ではないと気がついていればいいほうです。

世の中には、不利な契約条件ということさえもわからずに契約を取り交わしていること起業家の方すらいらっしゃいます。

もちろん、こうした立場の優劣を是正してくれるような法律も、あるにはあります。

ただし、事業者の場合は、消費者に比べると、ごく限られた法律でしか保護されていませんので、ひとたび起業した以上は、法律の保護など、あてにしないようにしましょう。

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