創業期の会社と契約書
ビジネス上の契約である以上、会社が契約を結ぶ際には、契約書は、できるだけ用意しなくてはなりません。
それは、創業期の会社であろうと、そうでなかろうと、同じことです。
もちろん、タダで入手できるような得体の知れない雛形よりも、専門家が契約内容を詳細に検討したうえで作成した契約書を使うべきです。
契約書は、ビジネスでのリスクを抑える、最も手軽に利用できる手段のひとつです。
そういう意味では、本来は、一種の設備投資のような感覚で予算を投じるべきものです。
ただし、これはあくまで理想的な話です。
予算の問題もありますし、何よりも、契約自体にリスクが少なければ、無理して契約書を用意する必要はありません。
そのあたりは、結局、経営者の感覚に左右される話です。
もちろん、専門家としては、最初からある程度しっかりした契約書を用意することをお勧めします。
ただ、予算、つまりコストについては、創業期だからといって、極端に削ることは考え物です。
契約書の作成に伴うコストというのは、営業に伴うコストのようなランニングコストと違って、最初にかけてしまえば、以後、継続的に発生するようなコストではありません。
こういうコストをイニシャルコストといいます。
これは、もちろん、2度目、3度目以降でも、継続的に利用できる契約書(一種の雛形です。専門的には
約款といいます。)に限れることです。
契約書を何度も継続的にに使用するような契約というのは、通常、
本業の契約ということになります。
このように、
本業での契約書を最初に作っておくと、2度目以降は、契約書についてのコストはかからないことになります。
そういう意味では、たとえ契約書の作成に、1回あたりの取引の利益を超えてしまうような費用がかかるとしても、2回目以降の取引のために、あえて最初に契約書を作っておくことを検討するくらいでなくてはなりません。
本業の契約というのは、最も多く結ぶことになる契約です。
つまり、それだけ将来トラブルになる可能性が最も高い契約ということです。
ということは、
当然、しっかりした契約書を用意しておかなければなりません。
ある意味では、最もコストをかけるべき契約書ということにもなります。
もちろん、用意する時期は、早いに越したことはありません。
契約というのは、いったん結んでしまえば、原則として、相手の同意が無い限り、変更が利きません。
つまり、いい加減な契約書を使った場合であっても、その契約は、簡単に変更が利かないということです。
ということは、しっかりした契約書を用意するまでの間は、常にリスクを抱え続けながら経営を続けていかなければならない、ということです。
以上の点を踏まえて、契約書について検討してみてください。